習い事の送迎・待ち時間 多忙な親の心と体を休ませるヒント
終わりの見えない送迎と待ち時間 多忙な親のリアル
複数の子供たちの習い事や活動が増えてくると、親の毎日に組み込まれてくるのが「送迎」と「待ち時間」です。学校や保育園・幼稚園へのお迎えとは異なり、時間も場所もバラバラだったり、兄弟で掛け持ちしたりと、その負担は少なくありません。
移動時間や、子供の練習が終わるまでの待ち時間。「この時間に家事ができれば」「仕事の続きができるのに」と感じながら、ただ静かに待つ時間が続くと、焦りや疲労感が募ることもあるのではないでしょうか。特にリモートワークが中心の場合、これらの時間帯が仕事や他のタスクを圧迫し、「自分だけが立ち止まっている」ような感覚に陥ることもあるかもしれません。
この送迎と待ち時間の「見えないタスク」は、想像以上に心と体に負担をかけています。しかし、この時間を少しでも自分にとって「ホッと一息つける」時間に変える小さなヒントがあります。
「何もできない」時間への見方を変える
まず大切なのは、送迎や待ち時間の間、たとえ何も「生産的なこと」ができていなくても、自分を責めないことです。子供たちの成長を支えるための移動や待機は、立派な子育てのタスクの一つです。この時間に、家事や仕事が進まないのは当然のこととして受け止めましょう。
「この時間に〇〇すればよかった」といった過去の自分への後悔や、「無駄な時間を過ごしている」という否定的な考えを手放すことから始めてみませんか。ただそこにいて、子供を待つ。その行動自体が、十分に価値のある時間であると認識することが、心の負担を和らげる第一歩となります。
短い待ち時間を自分を労わるスキマ時間に変えるヒント
物理的に拘束される待ち時間ですが、その中で少しだけ自分自身に目を向けることは可能です。数分でも、場所が限られていてもできる小さな工夫をいくつかご紹介します。
- 意識的に「無」になる時間を作る
- スマホを見るのをやめ、目を閉じて深呼吸を繰り返してみましょう。
- 窓の外の景色をただ眺めたり、通り過ぎる人をぼんやりと観察したりするだけでも、脳を休ませることができます。
- 音の力を借りる
- 静かな場所であれば、自分の好きな音楽をイヤホンで聴く。
- 短い時間で聴けるポッドキャストやオーディオブックを準備しておく。
- 自然の音(雨音、風の音など)に耳を傾ける。
- 五感を満たす小さなアイテムを用意する
- 好きな香りのハンドクリームを塗る。
- 美味しいお茶やコーヒーをタンブラーに入れて持っていく。
- 気分が明るくなるような、お気に入りのハンカチや小物を使う。
- 短い時間で完了できることを楽しむ
- 数ページだけ本を読む。
- 簡単なクロスワードパズルや数独を解く。
- 今日あった良かったことを3つ書き出す(スマホのメモ機能で十分です)。
- 体をほぐす
- 座ったままできる簡単なストレッチや首回しをする。
- 手の指を一本ずつ揉みほぐす。
これらのヒントは、どれも特別な準備や長い時間を必要としません。その時の気分や場所に合わせて、無理なくできることを一つでも取り入れてみてください。完璧にこなす必要はありません。
送迎中の小さな気分転換
移動中の車内や自転車での道のりも、少しだけ気分転換を取り入れる機会にできます。
- 好きなBGMをかける
- 子供向けの曲ではなく、自分が聴いてリラックスできる、あるいは元気が出る曲を選んでみましょう。
- 寄り道をする(時間に余裕があれば)
- 公園の脇を通る道を少しだけ遠回りしてみる。
- 季節の花が咲いている場所を探してみる。
- コンビニで自分のためだけに小さなスイーツを買う。
これらの小さな変化が、日々の送迎・待ち時間の単調さや疲労感を和らげる助けになることがあります。
頑張っている自分を静かに認める
送迎や待ち時間も含め、子供のために費やす時間や労力は、目に見えにくく、誰かに評価される機会も少ないかもしれません。しかし、あなたが子供たちのために時間を作り、移動し、待つという行動は、彼らの成長を支えるかけがえのない土台となっています。
何かが「できた」かどうかではなく、子供のために時間を割き、そこにいるという事実だけで、あなたは十分に素晴らしい親です。何もできなかったと感じる待ち時間も、それは体を休めたり、思考を整理したりするための、自分にとって必要な時間だったのかもしれません。
この見えない頑張りを、まずは自分自身が静かに認めてあげてください。そして、ほんの少しでも良いので、その時間の中で自分を労わる小さな工夫を取り入れてみてください。一人で抱え込まず、同じような状況にある仲間の存在を思い出すことも、心の支えになることでしょう。